ラピュタのドーラ一家は空賊ではなく海賊と呼ばれるのはなぜ?

TVで毎年のように幾度となく再放送される、言わずとしれたスタジオジブリの名作
「天空の城ラピュタ」
皆さんも一度は見たことがあると思います。

「風の谷のナウシカ」をヒットさせた宮崎駿監督が、スタジオジブリを設立してから初めて制作されたオリジナルアニメ作品。

今や知らない人の方が少ないであろうジブリの定番人気作ですが、意外にも映画公開当時は全くと言っていいほど売れず、興行収入は今でもスタジオジブリ作品の中で最下位となっています。

しかし少年漫画的な王道を余すこと無く描ききった冒険活劇は幅広い年代の支持を受け、時代と共に人気を上げ今や国民的アニメとしての確固たる地位を築いています。

今回はこの作品に登場する
「海賊ドーラ一家」
について。

ドーラ一家は飛行船で空を飛び回る盗賊一家ですが、物語上では一貫して「海賊」と呼称されています。

ラピュタという作品自体がを主軸に描かれる物語であり、ヒロインシータの持つ「飛行石」を巡りに浮かぶ伝説の城「ラピュタ」へ至るストーリーで、ドーラー家の初登場シーンももちろんです。

の盗賊である彼らは、何故 海賊と呼ばれているのでしょうか?

調べて見ました!

空賊ではなくなぜ海賊と呼ばれている?

映画本編では「海賊」の呼び名で一貫しているドーラー家ですが、実は設定上では「空中海賊」と表記されています。

つまり本編でいうところの
海賊とは、 空中海賊の略称
になります。

しかし何故「空中」の方を略したのでしょうか。
本編での彼らの活動を鑑みるに、意味合いとしては明らかに「空賊」の方が正しいのでは?

これの理由については、私見にはなりますが第一に「空賊」という言葉に馴染みが無かったことが上げられると思います。

本作の公開は1986年ですが、ジブリ映画において初めて「空賊」という言葉が使われるようになるのは1992年の『紅の豚』からになります。
文字に起こせば「空」「海」と言葉の意味が分かりやすいですが、セリフにした時に観客に伝わりづらいのは「空」の方でしょう。

パズーが追われて蒸気機関車に乗り込んだ際、機関士のおじさんがドーラー家を見て
海賊か!
と叫ぶシーンがありましたが、あそこがもし
くうぞくか!
になっていたら、一瞬頭に「?」が浮かんでしまう視聴者もいたと思います。

今でさえ「盗賊」「海賊」に比べて「空賊」はあまり耳馴染みがありませんから、セリフを音で聞くしかないアニメでは、本編への没入を妨げないために観客のよく知っている単語である「海賊」の方を採用したのかもしれません。

第二に、そもそも「海賊」という言葉には「海上で活動する盗賊」以外の意味も含まれるということ。

海賊行為の定義
公海又はその上空などいずれの国の管轄権にも服さない場所にある船舶、航空機、人または財産に対して行われる、私有の船舶又は航空機の乗組員又は旅客による、私的目的のために行うすべての不法な暴力行為、抑留又は略奪行為、及びそのような行為を煽動又は故意に助長するすべての行為(国連海洋法条約第101条)
引用:Wikipedia「海賊」

航空機の乗組員による略奪も海賊行為に当たるんですね!
ですので、ドーラー一家を「海賊」と呼ぶことは意味的にも正しいと言えます。

なお小説版では映画本編より以前のエピソードが明らかにされ、空中海賊になる前、実際に海の海賊であった頃のドーラを知ることが出来ます。

そもそも元から海賊だったので、空で活動するようになって「海賊」に後から「空中」と付け足したというのが本当のところかもしれませんね。

 

船員達は本当の息子?名前は?

空賊と呼ばれない意味がわかったところでここで趣向を変えていきます。

ドーラ一家は、船員達から「ママ」と呼ばれる首領のドーラ、機関士のハラ・モトロ、他8人の男衆で構成されています。

機関士ハラ意外は全員本当の息子なのかも気になる所ですね。
調べてみたところこの8人の男衆のうちの3人、
シャルル・ルイ・アンリがドーラの実の息子になります!

パズーとシータを追ってきた3人が実の息子とおぼえやすいですね。

映画開始時点でドーラは未亡人ということですね。
亡き夫は天才的な発明家で、タイガーモス号を開発した人物です。
このタイガーモス号のお陰で、ドーラは晴れて海の海賊から空の海賊になりました。

因みに後の5人の男衆にはそれぞれカ・キ・ク・ケ・コというものすごく適当な名前がつけられています(笑)

 


 

最後に

いかがでしたか?

オープニングでムスカの飛行船を襲い、かの有名な「親方!空から女の子が!」のシーンを作る影の立役者となった彼ら。

始めはパズーやシータと敵対関係にあったものの、賊でありながらどこか憎めないコメディリリーフとしても活躍し物語を彩ります。

主人公達少年少女にとって最も大人であり、母親のような立ち場として存在感を放つ女首領のドーラは特に魅力的なキャラクターで、大人になってから見返すとパズーやシータより彼女に感情移入してしまうような場面も多々見受けられます。

シータ・パズーに続き、物語における第三の主人公とも言えるドーラとその一家。
本編では語られない彼らの過去や設定を知った上で本編を見たら、さらに彼らのことが好きになれるかもしれませんね!

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